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偏頭痛と閃輝暗点の知っておきたい関係性

【はじめに】

偏頭痛において認められる閃輝暗点は、ふとした際に突如として視野の中にギザギザ、あるいはキラキラした光の波が次第に広がって暗くなり見えなくなるという現象を意味しています1)。

一般的には、閃輝暗点が出現した後に頭痛発作が起こるため、閃輝暗点の予防ができれば偏頭痛の症状悪化も予防できると考えられています。

今回は、偏頭痛と閃輝暗点の知っておきたい関係性について解説していきます。

【第1章】偏頭痛と閃輝暗点の知っておきたい関係性

一次性頭痛の代表である偏頭痛では、発作時の前兆として頭痛の起こる前に閃輝暗点と呼ばれる視覚異常に関連する前駆症状が認められることがあります2)。

偏頭痛では、嘔気や嘔吐を自覚して、さらに光や音に対して非常に敏感になる症状を前駆的に伴うことが多く、また閃輝暗点は普段から偏頭痛に悩まされている場合には、珍しくない症状のひとつです。

閃輝暗点とは、急に視野の真ん中あたりにきらきらした点が出現して、ギザギザした光の波が認められたのち、四方八方に拡がって、その場所が暗くなって見えなくなる現象です。

閃輝暗点は、一時的に視野障害が発生して、突然視界がおかしくなって、視界の一部が光の輪のようなもの、あるいは尖った波模様などによってまぶしくキラキラする症状が認められます。

それ以外にも、視界が真っ暗、あるいは真っ白になって見えなくなる、目の前がチカチカする、前方の視野が歪んで見える、物がゆらゆら動いて観察されるといった徴候が認められることもあります。

閃輝暗点の症状は、波のように物がゆらゆらと動いて見えることが特徴のひとつであり、症状が出ている領域は文字が読めないほど視界が悪くなり、初めて経験する際には不安な気持ちに襲われることもあります。

時間経過と共に早い方だと10分程度で閃輝暗点の症状は消失しますし、多くのケースでは1時間以内に軽快すると言われており、その過程において視野や視界の範囲が広くなったり、移動したりすると考えられています。

閃輝暗点が起こる原因は、基本的には脳血管の収縮や拡張運動によって生じると言われており、眼球自体に異常所見を認めるわけではありません。

通常では、視覚野と呼ばれる視覚に関係する血管の流れが一時的に悪化して、解消された際に視覚異常として閃輝暗点の症状が現れます。

典型的な症状としては、10分~20分程度でギザギザする視野異常は消失することが多いですが、その症状は目を閉じていても観察できると言われており、閃輝暗点が治まったあとに偏頭痛の発作症状が起こることが多く見受けられます。

閃輝暗点は、急に視野の中にギザギザ、あるいはキラキラした光の波が見えて、次第に広がって暗くなり見えなくなるという現象を指しており、長くても20分程度で消失します。

若いときほど閃輝暗点を経験する回数が多く、年齢を重ねるごとに発作回数が減少していくと指摘されており、閃輝暗点は脳の視覚を司っている中枢部の脳血管が収縮することで、一時的に血流が変化して認められると言われています。

一般的には、ストレスが溜まった状態で一息ついた場合、あるいはチョコレートやワインを摂取した後など、収縮した血管が拡張するタイミングにおいて閃輝暗点を自覚しやすいと考えられています。

閃輝暗点そのものに対する治療法は存在せず、予兆が現れる引き金になったと予想される原因などを見つけて回避する手段を選びましょう。

もし仮に、閃輝暗点を認めた後に頭痛発作が起きない、初めて閃輝暗点を経験した、頻回に閃輝暗点を繰り返すようになっていつもと異なる視野障害の症状を自覚した、あるいは閃輝暗点の症状がいっこうに治癒しないなどの場合には脳神経外科などを受診しましょう。

閃輝暗点に伴う症状が脳疾患によるものではないことを確認するために、頭部のMRIやCTなど脳神経外科に併設されている専門医療機器で精密検査を実践する必要性が高いと考えられます。

特に、中年の方で閃輝暗点を認めるだけで偏頭痛の典型的な症状が認められない際には、ごく稀に脳梗塞や一過性脳虚血発作などの疾患が隠れていることも考えられますので、頻回に起こるようであれば頭部MRIなど画像検査を前向きに受けられることを推奨します。

【まとめ(おわりに)】

これまで主に偏頭痛と閃輝暗点の知っておきたい関係性を中心に解説してきました。

偏頭痛は、頭痛症状だけではなく、閃輝暗点を代表とする視覚前兆や悪心、嘔吐、音過敏、光過敏などの随伴症状を認めることが多く見受けられます。

閃輝暗点の発生理由は、日々の過労やストレス、チョコレートなど食べ物の影響があると指摘されていますが、断定することは困難であるために予兆を事前に予防することも難しいと考えられますが、思い当たる節があれば発作出現のリスクとなる行動を控えましょう。

また、閃輝暗点が初めて起こった場合には、患者さんは不安を抱えることが多いので、専門医療機関を受診して重大な脳病変がないことを確認してもらいましょう。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

1)しみず脳神経外科クリニックHP:閃輝暗点は片頭痛の症状の一つ!主な症状と治療法.

DOI https://shimizu-brain.com/kyoto-mri/treatment-i-scintillating-scotch/

2)永田 栄一郎:頭痛の予防―抗体医薬の登場. 神経治療学. 2020 年 37 巻 3 号 p. 353-356

DOI https://doi.org/10.15082/jsnt.37.3_353

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。