こむら返り(腓返り)とは
こむら返り(腓返り、こむらがえり)とは、「腓(こむら)=ふくらはぎ」に起こる筋痙攣の総称で、「足がつる(攣る)」とも言われます。
本人の意思とは関係なく突然、筋肉が強く収縮を起こし、収縮が数秒から数分間持続し、強い痛みを感じます。健康な人でも激しい運動をしている最中や就寝中、妊娠後期などに起こりやすい現象ですが、ほとんどは一過性でその後の後遺症なども見られません。
「妊婦・妊娠中のこむら返り(腓返り)・足がつる原因と予防は」こちら
妊婦・妊娠中はこむら返り(足がつる)になりやすい?妊娠した女性の40~60%がこむら返り(腓返り)・足がつる経験を持つと言われています。 妊娠の初期や中期は比較的まだ頻度は少ないですが、妊娠後期、週数が進むにつれて多くなり、出産後に[…]
こむら返り(腓返り)・足がつる症状はどんな時に起こる?
「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎ。
ふくらはぎは、全身の血行を巡らせる大切な役割を持っており、このふくらはぎの筋肉が凝り固まってしまうと、血流が滞り血行不良を引き起こしやすくなります。
こむら返り(腓返り)は、運動時や運動後、就寝前後や就寝中などに起こることが多く、糖尿病患者やその予備軍、妊娠女性にも多く起こる症状です。
- 運動時
- 運動後
- 就寝前
- 就寝後
- 就寝中
- ミネラルのバランスが悪い方
- 妊娠女性
- 中高年の方
- 糖尿病患者とその予備軍
- 腎不全・透析患者
こむら返り(腓返り)・足がつる症状の原因・メカニズム
こむら返り(腓返り)・足がつる症状の原因は様々ですが、筋肉の酷使によって起こるケースを除くと、その7~8割以上は筋肉中のミネラル(カルシウムとマグネシウム)のバランスが崩れて筋肉が過剰に収縮することにより起こります。
カルシウムとマグネシウムの比率(カルマグ比)は、理想的には2:1とされていますが、特にマグネシウム不足によりカルマグ比が大きくバランスを崩し、筋肉が過剰に収縮を起こします。
カルシウムの役割として筋肉を縮める作用を持っていますが、逆に拮抗して働くマグネシウムは筋肉を緩める作用を持っています。
カルシウムとマグネシウムの比率(カルマグ比)ミネラルの中で、カルシウムとマグネシウムは人間にとって欠かせない要素です。生体年齢は、細胞内のマグネシウムとカルシウムの比率によって決まるとも言われています。2:1カルシウムと[…]
一般的に、筋肉細胞に含まれるカルシウム、マグネシウム 、ナトリウム、カリウムなどのイオンのバランスによって筋肉の状態の良さが決まりますが、通常健康な人は過剰なイオンは尿や汗などから排出され、反応性がちょうどいい範囲内におさまるよう調節されています。
ところが、睡眠時は意外に汗を多くかいており脱水傾向にあります。さらに全身をほとんど動かさないため、心拍数も減り、血行が低下しています。夏場に冷房をつけっぱなしで寝たり布団をかけずに寝ると、足の筋肉が冷え血管も収縮し、血行はさらに悪くなります。こういった悪い状況でイオンのバランスが崩れているときに、たまたま寝返りをうったりすることで筋肉に刺激が加わると、筋肉の細胞が過剰に反応し収縮が発生しやすくなってしまいます。
特に、寝ているときは自然と足のつま先が伸び、ふくらはぎの筋肉は縮んだ状態になりやすいですが、この状態が続くとこむら返り(腓返り)・足がつる症状が起きやすくなります。中高年に多く、足の指や土踏まず、太ももなどに起きる場合もあります。
- カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのイオンバランスの乱れ(特にマグネシウム不足)
- 脱水・水分の不足。熱中症時。
- アルコールの摂取後(脱水しやすい)
- 運動不足で急な運動や作業時
- 冷え。夏は冷房で起こることも。
- 妊娠中
- 糖尿病
- 腎不全・透析など
アメリカのこむら返り(腓返り)・足がつる症状の状況
2002年5月英国・スタッフォードシャー州のキール大学医学部での研究論文によると、アメリカ人60代以上の30%、80代以上の50%が日常的にこむら返り(腓返り)や足がつる問題を抱えているとのこと。
こむら返り(腓返り)・足がつる症状の予防
① マグネシウムを積極的に摂取する
細胞間のカルシウムやカリウムなどミネラルの輸送をつかさどっているのがマグネシウム。マグネシウム摂取を増やすことにより、こむら返り・足がつる症状の頻度や痛みを減らす臨床結果が多く出ています。
「慢性的な下肢痙攣(こむら返り)の治療におけるマグネシウム投与試験(無作為化、クロスオーバー、プラセボ)」研究論文アメリカ医学研究論文文献(米国国立医学図書データベース)[blogcard url=https://www[…]
こむら返り(腓返り)・足がつる症状の予防法は、まずはマグネシウムをはじめとするミネラルをしっかり補給すること。食事からなるべく多く摂ることを心がけてください。
マグネシウムを多く含む食事はこちら
マグネシウムを多く含む食事・食品・食材・食べ物以下の表のように、マグネシウムを多く含む食品は、動物性よりも植物性のものが多い傾向にあります。これは、マグネシウムが光合成をつかさどるクロロフィルの内部に存在するため、あおさ、青海苔、ひ[…]
プラスアルファとしてサプリメントを試したり、経皮マグネシウム吸収の効果も実証されていますので、経皮マグネシウム製品などを塗ることも効果的です。
口から摂取するサプリメントも有効ですが、下剤としても作用するため慎重に摂取量を見極めてください。経口よりも吸収率が良く安全性も高い経皮吸収マグネシウムが有効です。
肌から摂取できるおすすめのマグネシウム製品を5つご紹介します!大手通販サイトや海外サイトなどで人気の高い経皮吸収タイプのマグネシウムアイテムを入手し、価格や使用感、効果など独自の基準を設けておすすめTOP5を選びました。マグネシウム情報を配[…]
② 寝る前のストレッチ
夜寝る前にふくらはぎのストレッチを行いましょう。筋肉をしっかり伸ばしておくことは、こむら返り(腓返り)・足がつる症状を予防または緩和するのに役立ちます。
腕の長さ分だけ離れ、壁に面して立ちます。
目の前の壁に手を置きます。
右足を後ろに踏み出します。
かかとを常に床に置き、右膝をまっすぐに保ちながら左膝を曲げます。
右のふくらはぎの筋肉の伸びを感じるように、左膝を曲げたままにします。
最大30秒間押し続けます。
必要に応じて脚を切り替えます。
③ 水分補給
できるだけこまめに水をしっかり摂取することは、脱水症状を防ぐために重要です。脱水症状に陥ると、重度のこむら返り(腓返り)・足がつる症状を引き起こす可能性があります。
特に夏場は寝ている間も汗で水分が失われますので、毎日8~11杯の水を飲むよう心がけてください。十分な水分補給は重要ですので、しっかり実践してください。
④ ふくらはぎを温める
攣りやすい筋肉(ふくらはぎ)を温めると効果的です。攣りや痙攣を和らげることにも役立ちます。
冷えが大きな要因にもなっていますので、なるべく体を冷やさないようゆっくり湯船に浸かったり、蒸しタオルなどで温めたり、膝掛けなどを使用したりと工夫してみてください。
ふくらはぎをケアできるレッグウォーマーや、電子レンジで温められるタイプのもの、カイロのようなもの、何でも構いませんので、ご自身に合うものを探してみてください。
⑤ マッサージ
こむら返り(腓返り)・足がつる状況が起きた場合、患部をマッサージしてあげると痛みが和らぎます。また、血行を改善するため、こむら返り(腓返り)・足がつるのを防ぐことにも繋がります。ふくらはぎを軽く揉み解すマッサージをそれぞれ5分程度してあげると効果的です。
マッサージしやすい経皮マグネシウムアイテムもおすすめです。
肌から摂取できるおすすめのマグネシウム製品を5つご紹介します!大手通販サイトや海外サイトなどで人気の高い経皮吸収タイプのマグネシウムアイテムを入手し、価格や使用感、効果など独自の基準を設けておすすめTOP5を選びました。マグネシウム情報を配[…]
⑥ 運動する
適度に体を動かすことは非常に大切です。
アクティブでいることで、過剰な体重増加を防ぎ、血行を促進し、こむら返り(腓返り)・足がつるのを防ぐために効果的です。ただし、運動の前後に、常にストレッチとウォーミングアップを行うようにしましょう。
※夜中に1回以上起き、それが長期間続いている人は、睡眠の質が低下したり、他の病気や治療薬が原因の場合もありますので、一度医師の診断を受けてみることをおすすめします。
- ミネラルの補給(特にマグネシウム)
- 寝る前のストレッチ
- 適切な水分補給
- ふくらはぎを温める
- マッサージ
- 適度に運動する
こむら返り(腓返り)・足がつる症状の対処
もし、急にこむら返り(腓返り)が起こったとしても、一過性のものですので落ち着いて筋肉のこわばりをほぐすことが大切です。
まずは、膝を伸ばしたまま座り、つった方の足の爪先をつかんで、ゆっくりと手前に引っ張ってふくらはぎをしっかり伸ばしてあげてください。アキレス腱を伸ばす要領で足を前後に開き、つった方のふくらはぎをゆっくりと伸ばすストレッチも効果的です。
また、血行を良くするために、ふくらはぎ全体をほぐすようにやさしくマッサージしてあげてください。患部をお湯や蒸しタオルなどで温めるのも効果的です。
経皮マグネシウム吸収させるマグネシウムクリーム・ローションなども即効性がありますので、ぜひ試してみてください。
「慢性的な下肢痙攣(こむら返り)の治療におけるマグネシウム投与試験(無作為化、クロスオーバー、プラセボ)」研究論文アメリカ医学研究論文文献(米国国立医学図書データベース)[blogcard url=https://www[…]
カルシウムとマグネシウムの比率(カルマグ比)ミネラルの中で、カルシウムとマグネシウムは人間にとって欠かせない要素です。生体年齢は、細胞内のマグネシウムとカルシウムの比率によって決まるとも言われています。2:1カルシウムと[…]
浦上武雄(Takeo Urakami)薬学博士、薬剤師
1975年生まれ 広島県出身
静岡県立大学薬学部卒業
静岡県立大学大学院薬学研究科博士課程修了
日本国内の製薬会社、アメリカ国内の製薬会社、アメリカ国内の医学研究所などで新薬の研究に従事。薬局、ドラッグストアなどでの勤務経験も活かして消費者目線と科学的な観点の両方から有益な情報をお伝えしている。
著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。