こむら返りに悩まされたことはありますか?
ふくらはぎに起こる突然の痙攣。
とても痛いですよね。
年齢が高くなれば経験する割合が増え、50代の8割弱が近年に「寝ている間に足がつった」経験があるとのアンケート結果もあります。
アメリカの調査結果では、60代以上の30%、80代以上の50%が日常的に(ほぼ毎日)こむら返り(腓返り)や筋肉の攣りの問題を抱えているとのこと。
数字で見ると、本当に大きな社会問題です。
さらに大きな問題なのは、寝る前、もしくは寝ている間に起こるため、痛みと恐怖感から不眠の症状を引き起こしてしまう人が多いことです。
この記事では、こむら返りの主な原因と、最も効果的な予防法、特に自宅でできることについていくつかお伝えします。 辛いこむら返りの痛みから回避できるよう、少しでもお役に立てることを願っています。
こむら返りを引き起こす原因は何でしょうか?
1. 水分不足
まず大きな要因が、水分不足です。
睡眠時は意外に汗を多くかいており、脱水傾向にあります。
特に夏場は、水分を取っているつもりでも十分でないケースが多く、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの貴重なミネラルも汗や尿から排出されてしまいます。
他の脱水要因
体を動かす活動や運動
体を動かしている時、私たちの体は汗をかき、多くの栄養素を消費しています。 また、運動中および回復期間中のどちらも体に負荷がかかります。
アルコールによる脱水症
アルコールは利尿作用があります。 腎臓、尿管、膀胱などの腎臓系を介して、他の飲料よりも非常に速い速度で、血液から水分を排出するため、十分な水を補給しなければ、すぐに脱水症状になる可能性があります。
老化
脱水は、高齢者の間で最も起こりやすい問題の一つ。 通常の脱水要因ではなく、総水分量の変化、喉の渇きの知覚変化、腎能力の変化、および抗利尿ホルモン(バソプレシン)の働きの変化など、年齢に関連した変化が脱水の素因となります。
水分が不足すると筋肉が痙攣に弱くなるため、一晩中足の攣りが起こることもあります。
軽度の脱水は足の攣りを引き起こすだけかもしれませんが、重度の脱水に陥ると次のような症状があらわれます。
- 乾燥した、粘り気のある口内
- 眠気
- 喉の渇き
- 排尿の減少
- 頭痛
- 便秘
- 眩暈(めまい)
2. マグネシウム不足
次に、挙げられるのがマグネシウム不足です。
こむら返り(腓返り)の原因は様々ですが、筋肉の酷使によって起こるケースを除くと、その7~8割以上は筋肉中のミネラル(カルシウムとマグネシウム)のバランスが崩れて筋肉が過剰に収縮することにより起こると言われています。
カルシウムとマグネシウムの比率(カルマグ比)は、理想的には2:1とされていますが、特にマグネシウム不足によりカルマグ比が大きくバランスを崩し、筋肉が過剰に収縮を起こします。
カルシウムとマグネシウムの比率(カルマグ比)ミネラルの中で、カルシウムとマグネシウムは人間にとって欠かせない要素です。生体年齢は、細胞内のマグネシウムとカルシウムの比率によって決まるとも言われています。2:1カルシウムと[…]
現代の生活ではマグネシウム摂取量は大きく不足しています。
ある実験では、被験者の体内のマグネシウム量を1とすると、カルシウム量が12.1~46.8もあることが分かっており、現代人のマグネシウム量は圧倒的に足りていないことが明らかになっています。
マグネシウム欠乏症による症状はこちらで詳しくご覧ください。
マグネシウムは、人間が生きていくために必要なミネラルです。しかし、人間は体内でマグネシウムを作り出すことができません。そのため、多くの人はマグネシウム不足に陥っています。 マグネシウム不足で生じるさまざまな症状マグ[…]
3. 足やふくらはぎの筋肉硬直
長時間同じ状態で座ったり、適度に動かしていないと、足の筋肉がより痙攣を起こしやすくなります。
また、寝ているときは自然と足のつま先が伸び、ふくらはぎの筋肉は縮んだ状態になりやすいですが、この状態が続くとこむら返りが起きやすくなります。中高年に多く、足の指や土踏まず、太ももなどに起きる場合もあります。
4. 妊娠
妊娠中の女性がこむら返りや足がつる経験をすることは非常に一般的であり、多くの場合、妊娠中期〜後期の夜に起こります。
上記の原因(マグネシウムやカルシウムの不足、脱水症などが一般的であり、赤ちゃんの成長に影響を与える可能性があります)に加えて、妊娠中のこむら返りや足のつりは、疲労や子宮による神経の圧迫、または赤ちゃんの圧力による血液循環の低下などによって引き起こされる可能性があります。
体はエネルギーと栄養素を母体と赤ちゃんの両方に供給しているため、体重増加やストレスは体に大きな負担をかけることがあり、より痛みを大きくする可能性があります。
妊婦・妊娠中はこむら返り(足がつる)になりやすい?妊娠した女性の40~60%がこむら返り(腓返り)・足がつる経験を持つと言われています。 妊娠の初期や中期は比較的まだ頻度は少ないですが、妊娠後期、週数が進むにつれて多くなり、出産後に[…]
こむら返りを予防する方法
1. 水分補給
水分を積極的に取りましょう!
毎日、コップ8~12杯の水を飲むよう心がけてください。
尿の状態をチェックすることで、水分補給のレベルを簡単に確認できます。
濃い黄色は脱水の傾向、わずかに黄色がかっている透明に近い尿が理想です。
尿が完全に透明である場合、過度の水分摂取の可能性があります。この状態はそれほど深刻な問題ではありませんが、過度の水分補給によって頭痛や吐き気など「水中毒」と呼ばれる状況を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
2. マグネシウムの摂取
様々な研究結果が、マグネシウムとカルシウムがこむら返りを防ぐために不可欠であることを示しています。
通常、カルシウム過多により、筋肉が過度に収縮することで足の攣りが起こるため、マグネシウムの補給でバランスを保つことが必要です。
適切なマグネシウムとカルシウムの摂取レベルを確保するために、栄養補助食品などで補うことをお勧めします。これは、摂取量を確認し一貫性を保つのに役立ちます。
吸収率が高いタイプで十分な量を摂取できるように、1日の推奨マグネシウム摂取量と使用するマグネシウムの種類を確認してください。以下の記事は、毎日の摂取推奨量とマグネシウムの種類について説明しています。
日本人のマグネシウム摂取推奨量と、実際の摂取量厚生労働省が公表している「国民健康・栄養調査」による日本人のマグネシウム摂取推奨量と、実際の摂取量です。(20歳~49歳)摂取推奨量(mg)推定摂取量(m[…]
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3. 経皮マグネシウムを使用する
多くの研究結果から、経皮マグネシウム(マグネシウムオイル、マグネシウムバーム、マグネシウムスプレー、エプソムソルトなど)の使用が、こむら返りや足の痙攣の予防と、その程度の軽減に効果があることが示されています。
マグネシウムの摂取は全身の機能に効果的ですが、軟部組織が痛む場合、局所投与により細胞のマグネシウム濃度を上昇させることができます。
これは比較的新しい手法ですが、エプソムソルトなど古くから伝わる治療法もマグネシウムを中心としたものがあり、日本でも非常に効果的な製品がいくつかあります。日本で入手可能な私たちがお奨めするアイテムリストはこちらです。
マグネシウム (Mg) はヒトが生きる上で欠かせない栄養素です。不足すると、様々な体調不良につながってしまいます。必要であるにも関わらず、体内でマグネシウムを作り出すことはできないため、外から取り入れなければなりません。マグネシウムは肌[…]
さらに、こむら返りの治療に対する経皮マグネシウムの効果についての3つの記事をご覧ください。
「ヒトの血清および尿中マグネシウム濃度に対する経皮マグネシウムクリームの効果」アメリカ医学研究論文文献(米国国立医学図書データベース)[blogcard url = https: //www.ncbi.nlm.nih.gov[…]
「経皮マグネシウムの血清レベルでの影響と全身カルマグ比の分析」研究論文欧州栄養ジャーナル研究-2010年4月https://vitamindwiki.com/tiki-download_wiki_attachment.php[…]
「試験管内での経皮マグネシウム吸収試験」研究論文2011年10月http://www.bioplanet.ee/wp-content/uploads/2014/01/Magnesium-report-Cardiff-Uni.[…]
4. ふくらはぎやつま先のストレッチ
夜寝る前にふくらはぎのストレッチを行いましょう。筋肉をしっかり伸ばしておくことは、こむら返り(腓返り)・足がつる症状を予防または緩和するのに役立ちます。
腕の長さ分だけ離れ、壁に面して立ちます。
目の前の壁に手を置きます。
右足を後ろに踏み出します。
かかとを常に床に置き、右膝をまっすぐに保ちながら左膝を曲げます。
右のふくらはぎの筋肉の伸びを感じるように、左膝を曲げたままにします。
最大30秒間押し続けます。
必要に応じて脚を切り替えます。
また、就寝前に数分間エアロバイクに乗るなどの軽い運動も、睡眠中の痙攣を防ぐのに役立ちます。
もちろん、妊娠後期はこむら返りになりやすくなったり、その他、体の冷えを抑える、アルコール摂取を控えるといった要因もありますが、まずはこの3つをしっかり実践してみてください。
こむら返りになった時の対処
こむら返りや足の攣りが起こった場合の対処方法をお伝えします。
1. ストレッチとマッサージ
収縮した筋肉を伸ばし、ゆっくりと優しくマッサージしながらリラックスさせてください。
ふくらはぎの痙攣の場合は、痙攣した脚に体重をかけ、膝を少し曲げてストレッチします。 立つことができない場合は、床に座るか、攣った脚を伸ばして椅子に座ります。
脚をまっすぐにしたまま、脚の上部を頭に向けて引っ張ってみます。 これは、太もも(ハムストリング)の痙攣を和らげるのにも役立ちます。
前腿(大腿四頭筋)の痙攣の場合は、椅子を使って体を安定させ、脚を臀部に向けて引き上げます。
2. 温める(冷やす)
緊張し縮こまった筋肉には、暖かいタオルや温熱パッドを使用してください。温かいお風呂に入ったり、温かいシャワーを筋肉に当てることも役立ちます。または、逆に筋肉を氷で冷やしながらマッサージすることで痛みを和らげることもできます。
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こむら返り(腓返り)とはこむら返り(腓返り、こむらがえり)とは、「腓(こむら)=ふくらはぎ」に起こる筋痙攣の総称で、「足がつる(攣る)」とも言われます。本人の意思とは関係なく突然、筋肉が強く収縮を起こし、収縮が数秒から数分間持続[…]
著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。