日本人のマグネシウム摂取推奨量と、実際の摂取量
厚生労働省が公表している「国民健康・栄養調査」による日本人のマグネシウム摂取推奨量と、実際の摂取量です。(20歳~49歳)
摂取推奨量(mg) | 推定摂取量(mg) | 推奨量に対する不足量 | ||||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
2015 | 370 | 290 | 237〜249 | 201〜219 | 121〜133 | 71〜89 |
2016 | – | – | 222〜240 | 194〜210 | 130〜148 | 80〜96 |
2017 | – | – | 218〜239 | 190〜213 | 131〜152 | 77〜100 |
マグネシウムは、カルシウムと比較して研究が進んでおらず「孤立栄養素(Orphan Nutrient)」と呼ばれており、その重要性に対する国民の認知が遅れています。
上記のようにマグネシウム摂取量は推奨量に対し、男性で約38%、女性で約31%も不足しているのが実情です。
マグネシウムの摂取方法
マグネシウムは現代の食生活では十分摂取し難い栄養素となってきておりますが、一般的に考えられる摂取の方法は以下の通りです。
食事(海藻類、野菜類、豆や種類、全粒穀物など)・・・光合成を司るクロロフィルの中心にはマグネシウムが含まれており、海藻類などに豊富。
にがり(塩化マグネシウム)・・・豆腐を固めるために使い、海水や海底から採取。
経皮吸収・・・バスソルト入浴、マグネシウムクリーム、オイルなど。近年その効果が臨床データで実証されつつあります。
- サプリメント・・・高濃度で摂取吸収した場合の下剤の作用に注意する必要あり。
世界のマグネシウム摂取の現状と認識
日本ではマグネシウム摂取の重要性はまだまだ認知されていませんが、欧米においてはマグネシウム研究と一般人の認識が大きく進んでいます。2010年の時点で、アメリカ・ギャラップ社による栄養素に関する調査によると、アメリカの成人10%が、より多くのマグネシウムを摂取するために努力しているということ。しかしながら、少なくとも70%以上の人がマグネシウム摂取が不十分と言われています。
慢性疾患者のほぼ100%がマグネシウムの細胞濃度が著しく低いことから、実際のマグネシウム欠乏の割合は70%よりもはるかに大きい可能性があります。
多くの医師・研究者が、患者にもっとマグネシウムを摂取するよう勧め始めています。細胞のマグネシウム値が高ければ、糖尿病、心臓病、脳卒中、高血圧、不整脈、多くの神経疾患などを低下させることがわかってきているからです。※
※引用データ「臨床医療におけるマグネシウムの重要性」
The scientific literature provides extensive evidence of wid…
今日、マグネシウムの補給なしで、体内のマグネシウムが不足せず、十分保持できる可能性はほぼゼロです。毎日、有機栽培のものを食べ、スピルリナ、ウィートグラスジュースのようなスーパーフードを食べ、海藻を食べる食生活の人の5%は、不足していないかもしれません。しかしながら、現在体調が悪い、もしくは疾患がある場合、マグネシウムが不足していない可能性はほとんどゼロに近いでしょう。
MITおよび全米科学アカデミーは、アメリカで、おびただしい数の人たちが、マグネシウム欠乏であると明らかにしました。マグネシウムの1日推奨摂取量(RDA)は、著しく少なく見積もられており、人口のほぼ100%がマグネシウム不足であることは、明確であるほどです。
※「Transdermal Magnesium Therapy」by Dr. Mark Sircus
米国ではマグネシウム摂取量が、20世紀初頭には最高500mg/日から、今日ではわずか175~225mg/日に徐々に減少しているとのこと。※
※引用データ「生理学および医学におけるMgの重要性とイオン選択性電極の必要性」
Mg is a co-factor in more than 325 enzyme systems in cells a…
マグネシウム研究の進んでいる欧米では、一般市民の認識も進んでいますが、実際はマグネシウムが不足している人の割合はかなり高いようです。私たちは、マグネシウムの重要性を少しでも知っていただき、毎日の生活の改善につなげていただければと思い活動しています。
マグネシウムを摂取していく上で、いくつかの選択肢があります。ぜひ、こちらの記事もご覧ください。
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著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。