「食事によるマグネシウム摂取と心血管疾患、2型糖尿病、全死因のリスク:コホート研究とそのメタ分析」研究論文
BioMed Central Medicine-2016年12月
Background Although studies have examined the association be…
研究概要
世界9か国で100万人以上の人を調査し、マグネシウムを摂取した人(100mg/日)とそうでない人との違いを比較。マグネシウムを摂取した人は、脳卒中リスク7%、心不全リスク22%、2型糖尿病リスク19%、全死亡リスク10%低いことが分かった。
背景
多くの研究でマグネシウムがヒトの健康において重要な役割を担っていることは分かってきているが、実際の疾患との関連性を大規模で調査した研究は今までなかった。マグネシウム摂取量と代表的疾患・心血管疾患(CVD)、冠状動脈性心疾患(CHD)、心不全、脳卒中、2型糖尿病(T2D)、全死因との関係を理解することを目的としてこの研究が行われた。
実験内容
アメリカ、中国、日本、スウェーデン、イギリス、スペイン、オーストラリア、フィンランド、ドイツの9ヶ国で行われた合計100万人を超える参加者を対象とした調査。(フォローアップ期間4〜30年)
以下の疾患と、食事によるマグネシウム摂取量の増加(100 mg /日単位)との関係を分析。
疾患 | 調査件数 |
心血管疾患(CVD) | 7,678 |
冠状動脈性心疾患(CHD) | 6,845 |
心不全 | 701 |
脳卒中 | 14,755 |
2型糖尿病(T2D) | 26,299 |
全死亡(何らかの死因) | 10,983 |
結果
マグネシウム摂取量を増加(100 mg /日)させた人は、以下の値が有意に減少した。
疾患 | 減少率 |
心不全リスク | 22%減少 |
脳卒中リスク | 7%減少 |
2型糖尿病(T2D)リスク | 19%減少 |
死亡リスク | 10%減少 |
しかしながら、心血管疾患(CVD)、冠状動脈性心疾患(CHD)に関しては有意な減少結果を得ることはできなかった。また、マグネシウムの摂取量と疾患リスクとの相関に対する地理的影響または性別の影響はなかった。
コホート研究とは
現時点(または過去のある時点)で、研究対象とする病気にかかっていない人を大勢集め、将来にわたって長期間観察し追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調査すること。
メタ分析とは
「分析の分析」を意味し,統計的分析のなされた複数の研究を収集し,いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする分析研究方法のこと。
著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。