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パーキンソン病の患者様がマグネシウムを摂取する意義

【はじめに】

マグネシウムは、人体の中で4番目に多い陽イオンと言われており、健康な成人では約21~28 gのマグネシウムが全身に分布しているとされています。

このうちの約半量が骨組織、そして残りの半分弱は筋肉やその他の細胞に多く含まれており、血液中には約1%程度存在しています。

生体内においては、マグネシウムは300種類以上の酵素の補酵素として働いています。

例えば、リボソームの構造維持やタンパク合成、その他エネルギー代謝に関する生体機能に必須な元素と言えます。

さらには、マグネシウムはシナプス伝達には不可欠な物質であり、神経系にも多量に存在する二百種類を超える酵素の補酵素であり、他にも細胞骨格やミトコンドリアの保全、そして細胞膜への物質結合などにも深く関与していると考えられてきました1)。

そして、マグネシウムはパーキンソン病で生じるα-シヌクレインの凝集を阻害して、レビー小体の形成を妨げることが知られています2)。

今回は、そんなパーキンソン病の患者様がマグネシウムを摂取する意義について説明していきます。

【第1章】パーキンソン病の患者様がマグネシウムを摂取する重要性とは?

パーキンソン病では神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して溜まることが原因となることが分かっており、また大脳の近傍にある中脳領域の黒質ドパミン神経細胞が減少して起こるとされています。

パーキンソン病とは、通常では振戦、動作緩慢、筋強剛(あるいは筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)などを主な症状とする病気です。

運動症状のほかにも、便秘や頻尿、発汗、易疲労性、起立性低血圧、うつ傾向、興味が薄れて意欲が低下するなどの自律神経失調様の症状も起こることがあります。

特に、パーキンソン病に便秘はほぼ随伴して必発すると言えます。

そんな中で、パーキンソン病で良く使われる下剤に酸化マグネシウムがあります。

酸化マグネシウムという名称以外にも、通称ではマグミットやカマグという名前で呼ばれることもあります。

酸化マグネシウムは細かい量の調節がしやすく、多くのパーキンソン病患者さんの便秘は酸化マグネシウムでコントロールできています。

パーキンソン病が進行すると、運動障害が顕著になるために便意を催してもすぐにトイレに行けず、排泄に手助けが必要になることもあります。

こうした方は、排便のタイミングをコントロールすることが必要であり、思いがけないときに便意を催すと大変困ることになります。

このような場合では、まず少量の酸化マグネシウムを普段服用しておいて、排便をおこないたい時に浣腸やレシカルボン座薬という薬を使って出すという方法がとられることも多いです。

ある研究では、二世代にわたる長期マグネシウム欠乏ラットを飼育して胎内環境からマグネシウム欠乏状態に暴露することによって生後1年で中脳黒質のドパミン神経細胞が変性脱落することが見出されました。

長期マグネシウム欠乏はパーキンソン病やパーキンソン性認知症の原因になり得るという報告からはパーキンソン病の発症にもマグネシウムの低下が関与している可能性が考えられます。

このような背景があるがゆえに、パーキンソン病の患者様がその症状を予防し改善させるためには、マグネシウム不足を普段から意識しながら解決する必要があるとも言えますね。

【第2章】パーキンソン病の患者様がマグネシウムを摂取する手段とは?

各種の研究結果より、パーキンソン病を引き起こすα-シヌクレインという蛋白質がまず腸管を動かす神経に蓄積し便秘傾向を引き起こした後に、さらにこのたんぱく質が脳内に溜まりパーキンソン病を発症させるという説も唱えられています。

そして、マグネシウムはパーキンソン病の誘因とされているα-シヌクレインというたんぱく質の凝集を阻害する作用があると考えられています。

マグネシウムは一般的に多くの食品に含まれているが,一日の必要量を1つの食品だけで摂ることは困難であるために、日常的にバランスのとれた食生活を心がけることが必要であると言えます。

ホウレンソウなどの緑色野菜はマグネシウムの供給源であり、これはクロロフィル(葉緑素)の中心にマグネシウムが含まれているからと考えられています。

それ以外にも、ナッツや種、ホールグレーン(全粒穀物)もマグネシウムを豊富に含んでいると伝えられています。

さらには、ひとつの食品から一度に大量に摂ろうとするだけでなく、それ以外にも市販店などで容易に手に入る経皮マグネシウムなどを有効的に活用しましょう。

もちろんマグネシウムの摂取は市販のサプリメントでもある程度は期待できますが、マグネシウムクリームは効率よく簡便に皮膚につけることが出来る新しいタイプのパーキンソン病に対する解決策になり得る代物です。

経皮からの吸収による使用効果および即効性は高いと言われていますので、1日でも早くパーキンソン病の症状を改善させたいという人はぜひマグネシウムクリームを用いてみてください。

【まとめ(おわりに)】

パーキンソン病には調子が良い時と悪い時があり、普段はある程度の自立生活を送っていた人がしばしば寝たきりや認知機能低下を来すことがみられます。

また、パーキンソン病に対する薬剤をきちんと服薬できずに、幻聴や幻覚、不眠や不穏といった精神症状が認められることがあります。

パーキンソン病の方は自律神経障害をきたし便秘傾向になり、また嚥下機能が低下しやすく誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

そして、生体内のマグネシウムは精神的ストレスにより量的に低下することから中枢神経機能においても重要な役割を担っていることがこれまでの調査で知られています。

このようなことから、日々の食事内容や経皮クリームなどをうまく活用することによってマグネシウムを上手に摂取し、パーキンソン病に随伴する症状を軽快させて実り多い生活を送りましょう。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

小柳清光:パーキンソン病・パーキンソン痴呆症とマグネシウム.昭和医学会雑誌. 2003 年 63 巻 4 号 p. 364-369.
DOI  https://doi.org/10.14930/jsma1939.63.364
Natalie Golts 1, Heather Snyder, Mark Frasier, Catherine Theisler, Peter Choi, Benjamin Wolozin:Magnesium inhibits spontaneous and iron-induced aggregation of alpha-synuclein. J Biol Chem.2002 May 3;277(18):16116-23. doi: 10.1074/jbc.M107866200. Epub 2002 Feb 15.
DOI  10.1074/jbc.M107866200
DOI  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11850416/

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。