【はじめに】
誰しもが社会生活を送るうえでは、悲しいことや不快なこと体験を完全に避けて通ることはできませんよね。
そういった時に、人並みに悲しくなって気分が落ち込む、あるいはやる気が起こらなくなるといった状態になることは通常では誰にでも経験されることです。
一方で、うつ病の場合にはそれらの悲しみの元となる出来事やイベントがはっきりしない、または誘因が判明していたとしてもその体験に対する心的な反応として予測される状態よりはるかに強くても重い症状が引き起こされます。
また、その症状の程度が仕事や日常生活に支障をきたすほど強くひどい様式で現れるのもうつ病の特徴と言えます。
さて、以前より厚生労働省が健康増進法に基づいて若年女性を含めて日本人の食事摂取基準量を規定していますが、その調査によると我が国における現代人の多くの方もマグネシウムの慢性的な摂取不足に陥っていると言われています。
それぞれのミネラルは、体の機能を正常に保つために様々な役割を担っています。
その中でもストレスを感じる女性が抱えやすいうつ病に罹患した際に治療や予防の措置対策として重要な位置づけとして捉えられているミネラルとして最近特に着目されているのが「マグネシウム」です。
今回は、うつ病を抱えた女性がマグネシウムを摂取する意義について説明していきます。
【第1章】うつ病を抱えた女性がマグネシウムを摂取する重要性とは?
うつ病は、日常的に過ごす社会生活に想像以上に強い影響が出る程気分の落胆が続いたり、何事に対しても喜びや嬉しさを持ったりすることが困難になる病気を言います。
うつ病の明確な発症メカニズムは現在でも詳細に解明されていません。
うつ病では遺伝的要因も関与していると考えられていますが、実際にうつ病の罹患するリスクを高める強い効果を示す遺伝子異常タイプは同定されていません。
しかし、うつ病患者の中には情動行動を制御する神経伝達に関する物質のなかのセロトニンやドパミンの機能低下が関連している可能性が示唆されています。
セロトニンというホルモン物質は心を落ち着かせ、その一方でドパミンは活動性を高めて楽しみを感じさせるとされています。
また、脳の海馬や前頭葉などの領域で学習機能に重要な神経作用を介する栄養関連因子が減少していることも最近になって示唆されています。
マグネシウムは特に脳や心臓、そして骨格筋などにおいて重要な生理学的役割を果たしているがゆえに、マグネシウムが不足してしまうとうつ病をも引き起こすとされています。
マグネシウム不足になると、それぞれの神経細胞に必要なマグネシウム量が満たされなくなり、うつ病の主因とされている神経細胞の損傷を引き起こし、精神行動面では注意力が散漫になります。
うつ病に関しては遺伝性やストレス、薬の副作用、ホルモン分泌異常症など様々な要因が契機となり若年から中年、そして老年期の女性でも発病することがあり、本邦の発症率としては全体で100人中3~7人とされています。
そうしたうつ病を抱えた女性においてマグネシウムが生体内で不十分になると、抑うつ状態がさらに悪化することもあり得ますので、様々な観点から日常的にうつ病を抱える様々な女性がマグネシウムを摂取することは重要であると言えるのです。
【第2章】うつ病を抱えた女性がマグネシウムを摂取する手段とは?
我が国ではこれまでにマグネシウム成分が多く含まれている穀物などの食品を諸外国よりも積極的に摂取してきたと言われています。
現在も精米などの穀物から高頻度に効率よくマグネシウムを摂取しています。
特に、若年から中年期、また老年の女性がマグネシウムを有効的に摂取するためには、当然のことながらマグネシウムを多く含む食品を積極的に摂ることが必要と考えられます。
マグネシウムは多くは腸管から再吸収されて、そのほとんどは具体的には遠位空腸や回腸などの小腸で吸収されると言われています。
ですからあらゆる年齢層の女性においても日々の食事をする面では、体調が悪い場合やひどい下痢症状がある場合を除外して、自分が出来る範囲で豆類や野菜類、そして海藻類などの食物繊維の比較的多い食材を前向きに摂取する必要があると言えるでしょう。
さらには、ひとつの食品から一度に大量に摂ろうとするだけでなく、それ以外にも市販店などで容易に手に入るサプリメントなどを有効的に活用しましょう。
あるいは、近年注目され始めている経皮吸収型クリーム製品などさまざまな種類のマグネシウム製品を組み合わせることで効率的にマグネシウムを摂取できるとも言えます。
マグネシウムは、果物や野菜、または経口サプリメントを組み合わせた食事成分として体内に摂取され、特に経口マグネシウムサプリメントは、成人1日あたりで約350 mg(マグネシウム元素量)の摂取量以下であれば安全域と考えられています1)。
特にインスタント食品やファストフードを普段からよく食べる人にとっては、マグネシウムが多く含まれる玄米や雑穀、ナッツ類といった食材のみならず経口サプリメントで摂取する方法もありますので検討してみてくださいね。
【まとめ(おわりに)】
うつ病はストレスを誘因にして発症することが多いために過度なストレスがかからない居住環境において心の休養を十分にさせることが重要です。
たとえば、仕事量が急激に増加したことがきっかけでうつ病を発症した場合には仕事量の軽減や自宅療養して安静を保つなどの措置が行なわれます。
そして、マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。
うつ病の症状を少しでも改善したい女性の方はマグネシウムをはじめとするミネラル摂取を意識した快適な日常生活を過ごしましょう。
そして、若年女性では頭痛やうつ症状と上手に付き合っていくために、食事内容やサプリメントをうまく活用することによって症状を軽快させて実り多い生活を送りましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
1)Guerrera MP, Volpe SL, Mao JJ. Therapeutic uses of magnesium. American Family Physician 80:157-162, 2009
DOI http://www.aafp.org/afp/2009/0715/p157.html
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。