偏頭痛の原因、どんな症状なのか?

【はじめに】

本邦では、偏頭痛の症状に苦悩している方が少なからず存在します。

脳の血管が拡張することでズキズキとした拍動性の痛みを呈するのが偏頭痛であり1)、主にこめかみから目のあたりが発作的に痛み、頭痛発作は4時間~数日間程度継続することによって日常生活に多大なる悪影響を与えます。

今回は、偏頭痛の発症原因や典型的な症状としてはどのようなものがあるのかを中心に解説していきます。

【第1章】偏頭痛の原因は?

我が国では年間に約1000万人弱が偏頭痛の症状に悩まされているというデータがあり、この病気に苦しんでいる患者さんは決して少なくないことが容易に理解できます。

通常、偏頭痛の罹患傾向としては女性が男性の約4倍と多く発症しやすく、20歳代から40歳代の働き盛りに多く見られる病気と言われています。

現代の医学でも、偏頭痛の原因や病態は必ずしも全てが明らかになっていませんが、一般的には偏頭痛の発作症状は何らかの要素がきっかけとなって、脳の血管が急激に拡張することで引き起こされると考えられています。

偏頭痛を引き起こす主な要因としては、ストレス、水分不足、寝過ぎや寝不足などの不規則な生活リズム、定期的な飲酒習慣、女性ホルモンの影響が挙げられます。

日々のストレスなどによって三叉神経領域が強く刺激され、神経末端より炎症物質を放出し、その炎症物質がさらに血管を拡張させてズキンズキンと表現される拍動痛をもたらす頭痛発作を発症すると伝えられています。

さらに、人混みなど環境の変化、寝すぎや寝不足といった生活リズムの変化、そして飲酒歴を持つ女性の場合には月経などの女性ホルモンなども関与して偏頭痛は発症しやすいと推察されています。

また、注意すべき原因として、頭痛発作が怖くあらかじめ予防的に鎮痛薬などを飲みすぎていると、薬剤の副作用として頭痛が悪化して毎日のように疼痛に悩まされるようになることも見受けられます。

【第2章】偏頭痛はどのような症状をきたすのか?

わが国では年間に約800万人程度の方が偏頭痛に伴う症状に悩まされていると言われており、偏頭痛の発作に非常に苦しんでいる患者さんは決して少なくありません。

偏頭痛における典型的な症状は、目の奥からこめかみにかけて、発作的に生じる頭痛であり、脈打つような痛みを感じます。

長年に渡って、偏頭痛症状と付き合ってきた人には、その誘因や予兆に何となく気づくものであり、一般的に偏頭痛の前兆としてよく知られている兆候が、閃輝暗点(せんきあんてん)です。

閃輝暗点は、視野の中にチカチカと光が出現する現象がおき、人によっては、「稲妻のようだ」、「ギザギザした光が見える」など多少表現の仕方が異なり、この予兆症状は目を閉じていても観察できることがあります。

この前兆では、突然視野の真ん中あたりにきらきらした点が現れ、ギザギザした光の波が拡がっていき、発現してから約10-20分程度でギザギザはなくなることが多いです。

一般的には、閃輝暗点の前駆症状を認めたあとに偏頭痛の疼痛症状が引き起こされることが多いと指摘されています。

前駆症状としては、キラキラとした光が見えるなどの視覚的な症状が多いですが、まれに片側の手足の脱力やしびれ(感覚障害)、あるいは言語障害が見られることもあります。

偏頭痛は、前述した通り脈拍リズムに合わせて“ズキン、ズキン”と拍動するように痛むのが特徴的であり、頭痛発作が起こると共に吐気をきたして、ひどい場合には嘔吐することもあります。

痛み自体はだいたい4~72時間ほど持続し、片側が痛むことが多いですが、稀に両側が痛む場合もありますし、偏頭痛が起こっているときは音や光に敏感になり、暗い静かなところでじっとしているほうが楽に感じると言われています。

頭痛発作が一度起こると、普段は気にならない程度の臭いや香りにも敏感になって、かなりわずらわしく過敏に感じたりすることも多いですし、発作中は階段の昇降や歩行など日常生活の動作で頭痛が悪化するため、寝込んで動けなくなることもあります。

頭痛発作の頻度はケースバイケースであり、月に1~2回程度の場合もあれば、週に3~4回程度発作を自覚する人もいますし、若年者は年齢を重ねるごとに頭痛の発作回数が減少することが多いです。

【まとめ(おわりに)】

これまで主に偏頭痛の原因や症状などを中心に解説してきました。

偏頭痛などの慢性頭痛は「病気」の1種類であり、実に日本人の4人に1人にあたる約3000万人程度が慢性的な頭痛を持っていると言われています。

偏頭痛とは、日々のストレスや女性ホルモンなどが契機となって吐き気や嘔吐、光や音に対して敏感になる症状を伴い、まるで拍動するような強い痛みが頭の片側や両側に生じることで生活に多大な支障をきたすことがある病気です。

偏頭痛の発作症状は大変つらいものであり、ひとりひとり性状や特徴が違います。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

1)大正製薬痛みに効くコラムHPより:片頭痛

DOI  https://brand.taisho.co.jp/contents/naron/detail_273.html

著者について

■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。