【はじめに】
冠攣縮性狭心症という病気は狭心症のひとつであり、この疾患は冠動脈の過剰収縮によって引き起こされる心筋虚血状態であると考えられており、狭心症のみならず急性冠症候群の発症にも関与していると言われています1)。
この病気では、心臓に酸素を与える血管である冠動脈が攣縮を起こして心筋に十分な酸素が供給できなくなり胸痛発作の症状が現れます。
一般的な狭心症は運動時や労作時に症状が出るのが主流でありますが、冠攣縮性狭心症では就寝中や安静時であっても胸痛や胸部違和感などの症状を自覚するのが特徴的です。
冠攣縮性狭心症は日本人を含むアジア人に発症率が多いことも知られており、最悪の場合には突然死に繋がることもあるために適切な治療介入や予防策を講じることが重要です。
そして、冠攣縮性狭心症を予防するためにマグネシウムは有効な要素であるという考え方も徐々に知られてきています。
マグネシウム欠乏症が進行して悪化すると、頻脈性不整脈や冠動脈攣縮などを生じさせる可能性があると指摘されています。
マグネシウムは昔ながらの日本食から豊富に摂取できると知られていますが、近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。
今回は、冠攣縮性狭心症にならないために普段からマグネシウム製品を取り入れる重要性などについて説明します。
【第1章】冠攣縮性狭心症になる原因とは?
冠攣縮性狭心症という疾患は、心臓に栄養を送る血管である冠動脈が一時的にけいれん様の攣縮発作を起こすことで冠動脈内腔が狭くなることで胸部症状を発症します。
発作的な冠状動脈の攣縮は、主に明け方や就寝中、あるいは安静時に引き起こされることが多いと伝えられております。
冠攣縮性狭心症という病気は、これまでの調査研究で受動喫煙を含む喫煙習慣、飲酒、寒冷刺激、過度のストレスなどが発症に関与していると考えられており、同時にアジア人に発症が多いことからも民族的、あるいは遺伝的な要因も発症に関連していると想定されます。
また、マグネシウム成分は動脈硬化など様々な疾病とも密接に関連しており、必要なエネルギー栄養素であるマグネシウムが生体内で不足すると、虚血性心疾患、高血圧や糖尿病に罹患しやすく冠攣縮性狭心症にも患いやすくなるという考え方も普及しています。
ここ最近になって、健康維持増進と長寿に不可欠な「アンチエイジングミネラル」としてマグネシウムは注目されており、食事などからのマグネシウム摂取不足が高血圧や冠攣縮性狭心症などの発症要因のひとつとして深く関わっていることが判明しつつあります。
マグネシウムは日々の生活において栄養状態悪化時などにも浪費されやすく、食事から得られる糖質成分をエネルギーとして燃焼させる際に大量に消耗されます。
必要なエネルギー栄養素であるマグネシウムが数々の理由で生体内において不足しますと、食品の体内利用に異常反応をきたす結果として冠攣縮性狭心症を含む冠動脈疾患を襲来させることに繋がると伝えられています。
【第2章】冠攣縮性狭心症にならないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性
冠攣縮性狭心症は心臓に関連した疾患であり、突然死を引き起こす可能性も考えられる病気であり、診断された時点でカルシウム拮抗薬や硝酸薬などの内服薬を中心とした治療方法が提案されます。
それ以外にも、一つでもリスクファクターを回避するために受動喫煙の回避を含めて禁煙を励行する、飲酒量を調整する、ストレスに対して適切に対処するなどの基本対策も本疾患に伴う症状をコントロールするうえで重要な観点となります。
さらに、冠動脈疾患を引き起こす因子として知られている高血圧や糖尿病、脂質異常症などが併存する場合には、食事療法や運動療法なども取り入れることが肝要です。
そのほかにも、適正体重を維持する、あるいは発作を誘発するとされている過労やストレスを避ける、寒い時期に身体を急に冷やすことなどは極力回避するように心がけましょう。
本邦においては、過去に国立循環器病研究センターや東京大学医学部の研究者らが日本人の食事からのマグネシウム摂取量と男性における冠動脈疾患リスクに関する疫学的な調査を実施した経緯があります。
この研究では、食事からのマグネシウム摂取量の増加は日本人男性における冠攣縮性狭心症を含めた冠動脈疾患の発症リスクを低下させるというエビデンスが示されました2)。
アオノリ、昆布、ヒジキなどの海藻類、大豆、納豆などの豆類、しらす干し、干しエビ、アサリなどの魚介類、アーモンドなどの種実類などにマグネシウムは多く含まれています。
原則として、マグネシウムなどのミネラルそのものは基本的には体内で十分な量を作ることができませんから、食品などから摂取する必要があります。
一方で、食事などで十分な量を取れない場合には市販で販売されて容易に手に入るサプリメントを活用する方法もあります。
そして、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じることなく適切な用量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。
日本人はマグネシウム不足になりやすく、半数以上の方が理想値には達していないことからも、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められています。
総合的に考慮すると、冠攣縮性狭心症を予防するためには、普段から意識して食べ物やサプリメント、あるいは経皮吸収型クリーム製品などからマグネシウム成分を摂取する必要性があると言えるでしょう。
【まとめ(おわりに)】
冠攣縮性狭心症は、心臓の筋肉に酸素を供給する冠動脈と呼ばれる血管が突然に異常攣縮して引き起こされる重大な病気です。
この疾患では、明け方や就寝中、また安静時にも胸部圧迫感や冷や汗、失神などの症状が生じると言われており、これらの症状は飲酒や過度のストレス、喫煙習慣などによって誘発されることが分かってきました。
そして、我々の体内ではミネラル成分が様々な身体機能を正常に保つために多彩な役割を担っていますが、中でも近年において生活習慣病や冠攣縮性狭心症などの予防対策として重要な位置づけとして考えられているのが「マグネシウム」です。
もし周りに冠攣縮性狭心症に関して心配事を抱えている人がいたら、十分にバランスの取れた食べ物を毎日の中で規則正しく取り入れることを推奨すると同時に、特にマグネシウムを中心としたミネラル成分の栄養素を前向きに摂取するように教えてあげて下さいね。
そして、日々の食事内容やサプリメント栄養、経皮吸収型クリームなどを上手に活用してマグネシウムの摂取方法を工夫することで冠攣縮性狭心症にならないように実り多い有意義な生活を送りましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- 竹花 一哉:星野論文に対するEditorial Comment─冠血管攣縮性狭心症の画像診断. 心臓, 2017 年 49 巻 7 号 p. 703.
DOI https://doi.org/10.11281/shinzo.49.703
- Kokubo Y, Saito I, Iso H, Yamagishi K, Yatsuya H, Ishihara J, Maruyama K, Inoue M, Sawada N, Tsugane S for the JPHC Study Group. Dietary magnesium intake and risk of incident coronary heart disease in men: A prospective cohort study. Clinical Nutrition, 2017 (in press).
DOI https://doi.org/10.1016/j.clnu.2017.08.006
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。