まだ間に合う!?切迫早産を予防するためにやっておくべきこと

【はじめに】

「切迫早産」とは、早産が切迫した状態であることを意味しており、本邦では妊娠220日から妊娠366日までに出産することを早産と定義して呼んでいます。

切迫早産は、子宮収縮があること、そして子宮頸管が開大しているという2点を満たしている状態を指しています。

一般的には、子宮頸管と呼ばれる部位では妊娠中に胎児を子宮内にしっかりととどめておくために重要な役割を果たしており、外部から細菌などが侵入して来ないような構造になっているのが正常です。

この子宮頸管が様々な原因によって通常よりも早い週数で構造変化して開大することによって切迫早産が引き起こされ、この変化が起こる週数が早ければ早いほど重症な切迫早産と考えられています。

そして、普段からミネラル摂取を格段に意識している妊婦さんは皆目ほとんどいないと考えられており、現在のところ切迫早産を予防するためにマグネシウムは非常に重要な要素であると伝えられています。

マグネシウムは昔ながらの日本食では豊富に摂取できるものが多いとされていますが、その一方で複数のミネラルやビタミンを同時に補うことができるサプリメントによってマグネシウム成分を摂取する人も最近では散見されます。

今回は、切迫早産にならないためにマグネシウムのサプリメントを摂取する重要性などについて説明します。

【第1章】切迫早産になる原因とは?

この切迫早産という病態を引き起こす根本的な要素として子宮頸管が軟化する原因は、いまだに不明であり、一説では細菌などへの感染による炎症の波及が関与していると唱えられています。

本来であれば、腟内や子宮頸管と呼ばれる場所には細菌やウイルスによる感染を防御する機能が存在していますが、これらの機能が何らかの契機によって働かなくなることで炎症を惹起すると考えられています。

これまでの医学的調査から、切迫早産になりやすい方としては、過去に早産もしくは切迫早産を経験した人、子宮頸部の円錐切除処置を過去に実施した人、喫煙者、多胎妊娠などが挙げられています。

また、腟内環境が悪化している、子宮頸管の炎症のリスクを高めるポリープや絨毛膜血腫などによって性器出血しているケース、子宮筋腫や子宮腺筋腫がある、あるいは虫歯や歯周病を罹患している場合にも切迫早産のリスクが上昇すると言われています。

【第2章】切迫早産にならないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性

万が一、切迫早産になった際の治療の原則は安静を保つ、子宮収縮抑制剤を使用する、また局所感染に伴う炎症反応を腟洗浄や抗生剤等を使用することで制御することです。

特に、子宮収縮抑制剤の使用に関しては、原則として妊娠35週以下又は推定胎児体重2500g未満の切迫早産に使用することが認可された待望の薬剤(商品名:マグセント)が2006年に誕生しました1)。

本剤は「硫酸マグネシウム水和物・ブドウ糖製剤」であり、妊娠22週未満の切迫流産における有効性及び安全性は確立していない切迫早産における子宮収縮の抑制、あるいは重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制の目的で使用することを保険認可されています。

深刻な病気と思われる切迫早産を事前に防ぐ根本的な予防策はいまだ解明されていないのが現状ですが、十分な休養や睡眠、あるいは適度な運動、そして精神安定を図るリラックス行為は本疾患にならないために一定の効果があると言われています。

マグネシウムは1926年以来から生体にとって必須元素であることが知られています2)。

特に、マグネシウムは、妊娠中に必要量が通常レベルよりも増加する傾向がありますので、意識して摂りたいミネラルの代表格です。

もし、妊婦さんがマグネシウムを多く含んだ食品を取り過ぎたとしても、小腸などで吸収量が調節されて、尿や汗と共に排泄される作用が働くために通常の食事においては過剰症になることはほとんどありません。

原則として、マグネシウムなどのミネラルそのものは基本的には体内で十分な量を作ることができませんから、食品などから摂取する必要がありますが、食事などで十分な量を取れない場合には市販で販売されて容易に手に入るサプリメントを活用する方法もあります。

通常では、サプリメントの容器には摂取量程度しか記載されていないことが多いため、飲むタイミングはいつが望ましいのか迷ってしまう妊婦さんも多いです。

基本的には、いつどのようにサプリメントを飲んでもいいのですが、まずは食後に1日の目安量を分けて飲んでみることをお勧めします。

総合的に考慮すると、切迫早産を予防するためには、普段から意識して食べ物やサプリメントなどからマグネシウム成分を摂取する必要性があると言えるでしょう。

【まとめ(おわりに)】

切迫早産は、主に子宮頸管の炎症によってお腹の張りや下腹部痛、少量の性器出血の症状を呈して発症します。

背景に絨毛膜羊膜炎などが原因として認められる場合には、熱発、おりものや羊水の混濁および悪臭などが併せて出現することも考えられます。

下腹部痛や腹部緊満感などの症状が重症化していくと陣痛に繋がってしまい、そうなると切迫早産は避けられませんし、炎症の波及によって破水してしまうこともあります。

さらには破水自体が子宮頸部周辺の感染をさらに起こしやすくしてしまい、感染所見が胎児にまで悪影響を及ぼすと赤ちゃんの状態が悪くなり結果的に早産に陥ってしまいます。

したがって、本疾患を事前に予防して早期発見するために妊婦健診をきちんと受診して産婦人科医のもとでしっかりと周産期管理を受けるように意識しましょう。

そして今一度、切迫早産にならないように胎児の成長を正常に発育させるためにも非常に重要なミネラルであると考えられているマグネシウムを積極的に摂取するように心がけましょう。

もし周りに切迫早産に関して悩みを抱えている妊婦さんがいたら、十分な水分量やバランスの良い食事を規則正しくしっかり食べて、マグネシウムなどのミネラル成分の栄養を摂取するように教えてあげてくださいね。

日々の食事内容やサプリメント栄養をうまく活用してマグネシウムの摂取方法を工夫することによって切迫早産にならないように実り多い有意義な生活を送りましょう。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

  1. 昌子:早産の予防と管理. 日本医科大学医学会雑誌. 2020 16 3 p. 138-143.

DOI https://doi.org/10.1272/manms.16.138

  1. 千葉百子、篠原厚子、松川岳久:マグネシウムと健康-栄養、医薬品、環境の観点から-. Biomedical Research on Trace Elements. 2011 22 4 p. 59-65.

DOI  https://doi.org/10.11299/brte.22.59

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。