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MRSA感染症を予防するのに今マグネシウムが注目されている?

【はじめに】

黄色ブドウ球菌は、ヒトや動物の皮膚、鼻腔、咽頭や気管にも存在しており、健康な人には通常無害な菌ですが、高齢者など抵抗力の弱い人が感染すると、肺炎、敗血症、感染性心内膜炎、骨髄炎、腹膜炎、髄膜炎など重症感染症の原因となります。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は1960年代以降全世界に拡散し、その後約60年が経過した現在でも医療関連感染および市中感染の原因菌として最も重要な病原体の一つです1)。

皮膚の傷や手術後の傷跡の二次感染を合併するなど、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(英語略称:MRSA)による皮膚軟部組織の感染症を起こすと、患部の赤み、腫れ、痛みなどの炎症症状が認められ、重症化すると、発熱、頻脈、低血圧など全身症状を伴います。

そして、これまで積み重ねられてきた知見から、マグネシウムの欠乏が急性心筋梗塞や脳血管疾患などの生活習慣病に加えてMRSA感染症の発症などに関与していることが判明しつつあります。

マグネシウムの欠乏が、高血圧や心筋梗塞症、心肥大、糖尿病、脳血管疾患、腎疾患の発症に関与していることが分かってきており、マグネシウムというミネラルは種々の生体機能に重要な役割を果たしていることが理解できます。

最近では複数のミネラルやビタミンを同時に補うことができるサプリメントによってマグネシウム成分を摂取する人も多く存在しています。

今回は、MRSA感染症を発症しないために日常生活においてマグネシウム製品を取り入れる重要性について説明します。

【第1章】MRSA感染症とは?

黄色ブドウ球菌は、ヒトの皮膚や鼻の中などに常在している細菌です。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(英語略称:MRSA)が出現した過去の経緯としては、1920年代にペニシリンが発見された以降から数々の抗生物質が開発されるなかで、メチシリンが1960年代に使用が開始されました。

1940年代に量産化に成功した抗菌薬のペニシリンG(天然ペニシリン)は黄色ブドウ球菌によく効いていましたが、黄色ブドウ球菌がペニシリナーゼを産生するようになりペニシリンGが効かなくなっていきました。

その当時、抗菌薬が普及し使用量が増えたという背景もあって、次に開発された抗菌薬がメチシリンで1960年ごろから欧米で使用されるようになりましたが、間もなくして効果が乏しくなってメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が出現しました。

当初はメチシリンが有効的に働いていましたが、徐々にメチシリンに耐性を持ったMRSAによる肺炎や敗血症などを含む感染症が、1985年頃から大病院を中心として流行し始めました。

高齢者や糖尿病罹患者、免疫抑制剤やステロイド薬で治療している場合など抵抗力や体力が健常者よりも低下している人が感染してMRSA感染症を起こすと、一般的な抗菌薬が効かないため、治療が進まずに重症化するケースも見受けられます。

病院内では、MRSAによって人工呼吸器を介した呼吸器感染症、心臓手術や人工関節置換術などによる手術後感染症、血管内に留置されたカテーテルによる菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎などを引き起こすことが知られています。

MRSA感染症は、メチシリンなどのペニシリン剤やβ-ラクタム剤、アミノ配糖体剤、マクロライド剤などの多くの種類の薬に耐性を示すMRSAの感染によって引き起こされます。

黄色ブドウ球菌は普段から我々の身の回りに存在していて、仮にMRSAが体内に入ったとしても、ほとんどの人は何の症状も示さず、菌もやがて体内からいなくなるケースもあります。

一方で、入院中の重症患者例などにおいては集中治療を行う上で血管カテーテルや尿道カテーテルなどが挿入されている、あるいは人工呼吸器で管理されているなど容易に感染を引き起こしやすい要因を持っています。

高齢者や糖尿病を基礎疾患として有している場合など、生体の抵抗力や免疫力が低下した状態では、菌を簡単に排除できず細菌数が増えやすい状態であり、MRSA感染症を含めてさまざまな感染症を起こしてしまう可能性が高くなります。

【第2章】MRSA感染症を改善させるためにマグネシウム製品を取り入れる重要性

黄色ブドウ球菌は、全身の血流を介して各臓器に播種する傾向があり、MRSA感染症は治療が難しく気の抜けない、死亡率の高い感染症のひとつであると認識されています。

肺炎や敗血症など重症な感染を起こしていれば使用可能な抗菌薬を投与して積極的に治療を行う必要がある一方で、患者本人が何の有意症状も自覚することなく、ただ単に便検体や鼻腔などから菌が分離されたというだけであれば、治療対象になることは通常ありません。

抗MRSA薬は、幅広く感染症に適応しており、現在認可されている抗MRSA薬は、グリコペプチド系薬(バンコマイシン、テイコプラニン)、アミノ配糖体系薬(アルベカシン)、オキサゾリジノン系薬(リネゾリド)、環状リポペプチド系薬(ダプトマイシン)の5つです。

そして従来から、本邦では日常生活内で積極的に意識してマグネシウムを摂取している方は比較的少なく、マグネシウムの摂取量が減少することでMRSA感染症など様々な病気に陥りやすいことが問題視されてきました。

これまでに数々の研究で、マグネシウムに関する代謝が高血圧、脂質代謝異常、虚血性心疾患や不整脈、そして心不全や心肥大などの循環器疾患の成因と病態に関与している可能性が指摘されてきました2)。

マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。

マグネシウムは脳や骨格筋のみならず、心臓など様々な臓器においても重要な生理学的役割を果たしていると信じられています。

最近では必須ミネラルの栄養素である「マグネシウム」が慢性的に摂取不足に陥っている人が増えていると頻繁に聞かれます。

通常では、マグネシウムは日々の生活において例えば飲酒時などにも消費されますし、食事から得られる糖質成分をエネルギーとして燃焼させるときにも大量に使用されることが知られています。

生命の基礎ミネラルとも言えるマグネシウムが不足すると、様々な体調不良を引き起こし、敗血症の罹患などに繋がる可能性が伝えられています。

日々の中でサプリメントを摂取する重要性は徐々に周知されており、成人に関してはマグネシウム(クエン酸マグネシウムや塩化マグネシウム)を大体400 mg/日程度摂取することが推奨されています。

マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です。

通常では、サプリメントの容器には摂取量程度しか記載されていないことが多いため、飲むタイミングはいつが望ましいのか迷ってしまう人も多いです。

基本的には、いつどのようにサプリメントを飲んでもいいのですが、まずは食後に1日の目安量を分けて飲んでみることをお勧めします。

【まとめ(おわりに)】

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA感染症)とは、メチシリンなどのペニシリン剤をはじめとして、β-ラクタム剤、アミノ配糖体剤、マクロライド剤などの多くの薬剤に対し多剤耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症です。

一般的な黄色ブドウ球菌の感染経路は接触感染や飛沫感染であると言われていて、健康な人の常在菌で皮膚や鼻腔内にもこの細菌は存在し、傷口が化膿する原因のひとつになることがあります。

メチシリン耐性を示す黄色ブドウ球菌は、細菌感染症に対する抵抗力が低下した入院患者や手術後の患者で感染する危険性が高くなると考えられていて、現在でも院内感染症の最も主要な原因菌のひとつとして注目されています。

MRSA感染症に罹患したとしても、全ての人が治療の対象となるわけではなく、MRSAが本当にその人の体の中で悪さを働いて生体に悪影響を及ぼしているかどうかを見極めることが重要です。

そして、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれているミネラルの中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格が、「マグネシウム」です。

マグネシウムは人体を構成するミネラルの中でも必要量が最も多く、現代人の食生活では不足しやすい栄養素であるので、自分に適したサプリメントや経皮吸収型クリームなどの製品を選択して補給することを心がけることが重要な観点となります。

今一度日々の食事内容や生活習慣スタイルを見直しながら、マグネシウム成分の摂取方法を工夫することによってMRSA感染症を引き起こさないためにも有意義な生活をみんなで過ごしましょう。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

【引用文献】

1) 中村 茂樹:MRSAの感染制御. 日本環境感染学会誌. 2022 年 37 巻 6 号 p. 217-226

DOI https://doi.org/10.4058/jsei.37.217

2)建田 早百合, 羽根田 俊, 中村 泰浩, 石田 裕則, 小川 裕二, 菊池 健次郎:慢性透析患者の動脈硬化および虚血性心疾患の成因に関わる血中イオン化マグネシウムの意義. 日本透析医学会雑誌. 1999 年 32 巻 3 号 p. 175-184

DOI https://doi.org/10.4009/jsdt.32.175

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。