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むずむず脚症候群(RLS)の症状とその対処と予防

むずむず脚症候群(RLS)とは

むずむず脚症候群とは

むずむず脚症候群は、Restless Legs Sydrome(RLS)とも呼ばれ、座ったり横になったりすると主に脚がむずむずしたり、ピリピリとした痛みや不快感があらわれる神経障害です。(症状が出る部位は脚だけでなく、腰、背中、腕、手など様々です。)

特に、活動が落ち着きリラックスした就寝前に症状が最も強くあらわれることが多く睡眠障害につながりやすい病気です。放っておくと、日常のじっとした状態や座っている状態で活動を阻害されるため、日常生活に大きな影響を及ぼします。

むずむず脚症候群(RLS)の症状

むずむず脚症候群の症状

じっとした状態や座っている状態で、主に下肢部分(もしくは腰、背中、腕、手、全身)に以下のような感覚があらわれます

  • むずむずする
  • 不快でじっとしていられない
  • 痒い
  • 虫が這っているような感覚
  • 針で刺すような痛み
  • 火照るような感覚 など

人によってさまざまな症状・感覚があらわれ、時に非常に激しい痛みを伴うこともあります。

場合によっては、映画を観ることができなくなったり、長時間のフライトに乗れなくなったりするケースもあります。

むずむず脚症候群(RLS)の原因

マグネシウムの細胞での働き

むずむず脚症候群(RLS)の原因はまだ完全に明らかにはなっていませんが、マグネシウム、脳内の神経伝達物質の一つドーパミンの機能障害や鉄などが関与していると言われています。

マグネシウム不足

また、マグネシウムは体内のさまざまな生化学反応を調節する役割を果たし、欠乏すると神経インパルス伝導、筋肉収縮、および筋肉痙攣などの問題を引き起こす可能性があります。

ドーパミンの分泌と鉄分不足

ドーパミンはさまざまな運動機能を潤滑にする働きをし、鉄はドーパミンを作る過程で欠かすことのできない物質です。その鉄の不足によりドーパミンがうまく合成されないことで症状を引き起こすのではないか、と考えられています。

血液検査で鉄レベルが正常である場合でも、脳内の鉄レベルが低ければむずむず脚症候群(RLS)を引き起こす可能性があります。

パーキンソン病もドーパミンに関連しているため、パーキンソン病の人の多くがむずむず脚症候群(RLS)も患っています。処方薬のいくつかは、双方の状態を治療するために使用されますが、現在も研究が進められている最中です。

特定のトリガー要因

カフェイン、アルコール、タバコなどの特定の物質が症状を誘発または増強する可能性もあります。

むずむず脚症候群(RLS)と遺伝

むずむず脚症候群と遺伝

遺伝的要因も考えられ、むずむず脚症候群(RLS)の人の40%以上が家族有病歴を持っています。RLSに関連する5つの遺伝子変異体があり、遺伝の場合は通常40歳前に症状が始まります

※元データ「Harvard Health Publishing」

Harvard Health

Bedtime is far from relaxing for women with this common cond…

むずむず脚症候群(RLS)の有病率

むずむず脚症候群の有病率

日本神経治療学会の全国20~59歳の8,426名を対象に調査を行った調査では、むずむず脚症候群(RLS)の有病率は4.0%で,女性(4.9%)は男性(3.0%)よりも有病率が高いことがわかりました。各年代間での有意な差はありませんが、全般的に睡眠障害を伴う例が多いこともわかっています。

※元データ「日本神経治療学会 標準的神経治療:Restless legs症候群」
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf

また、アメリカのNIH(国立神経障害および脳卒中研究所)によると、アメリカ人の約10%が何らかのRLS症状を患っています。通常、中年以降になると症状が重くなるケースが多いですが、どの年齢でも発生する可能性があり、女性の発症確率は男性の2倍あるとのことです。

※元データ「NIH(アメリカ国立神経障害および脳卒中研究所)」

National Institute of Neurological Disorders and Stroke

Restless legs syndrome (RLS)—also known as Willis-Ekbom Dise…

むずむず脚症候群(RLS)の危険因子

むずむず脚症候群の危険因子

むずむず脚症候群(RLS)のリスクが高いとされる要素を挙げることはできますが、これらの要因が実際にむずむず脚症候群(RLS)を直接的に引き起こすかどうかはまだ分かっていません。

  • 性別女性は男性の2倍の確率で発症
  • 年齢:どの年齢でも発症するが、中年以降は症状が重くなる傾向

  • 家族歴家族にむずむず脚症候群(RLS)がいる場合、症状を発する可能性が高まる傾向

  • 妊娠:妊娠中、特に妊娠後期にむずむず脚症候群(RLS)を発症するケースが多い。通常、発症から数週間以内に症状がなくなる。

  • 慢性疾患末梢神経障害、糖尿病、腎不全などの病気は、むずむず脚症候群(RLS)につながる可能性が高まる。多くの場合、治療するとむずむず脚症候群(RLS)の症状も緩和される。

  • 薬物療法抗吐き気薬、抗精神病薬、抗うつ薬、および抗ヒスタミン薬は、むずむず脚症候群(RLS)の症状を誘発または悪化させる可能性。
  • 民族性:誰でもむずむず脚症候群(RLS)を発症するが、北欧系の人々ではより一般的

むずむず脚症候群(RLS)を患うことは、全体的な健康と生活の質に影響を与える可能性があります。むずむず脚症候群(RLS)と慢性的な睡眠不足がある場合、次のリスクが高くなる可能性があります。

  • 心臓病
  • 脳卒中
  • 糖尿病

  • 腎臓病
  • うつ病
  • 早死

むずむず脚症候群(RLS)の診断

こむら返りの原因

むずむず脚症候群(RLS)を確認できる統一された方法はなく、基本的には症状の説明に基づいて診断されます。

むずむず脚症候群(RLS)の診断には、次のすべての条件が存在する必要があります。

  • 違和感を伴い、非常に体を動かしたくなる衝動がある
  • 夜間に症状が悪化し、日中は軽度もしくは症状なし

  • リラックスしている時または睡眠に入る状況で、症状が誘発される
  • 体を動かすと症状が緩和される

すべての基準が満たされていても、身体検査が必要です。血液検査で、鉄およびその他の欠乏状態をチェック、使用薬の状況、慢性的な症状、睡眠状況、神経科医との相談などで総合的に診断されます。

むずむず脚症候群(RLS)の対処と予防

研究

1. マグネシウムを積極的に摂る

むずむず脚症候群のいくつかの症状はマグネシウム欠乏によって引き起こされる可能性があり、マグネシウム摂取を増やすことによって症状が改善できる研究結果が出ています。

※元データ「マグネシウム欠乏が原因のむずむず脚症候群の臨床、脳波、筋電図および睡眠ポリグラフの研究」

マグネシウムを多く含む食品はこちらをご参照ください。

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2. 鉄分を積極的に摂る

また、鉄分の欠乏はむずむず脚症候群(RLS)の原因の1つであると考えられています。鉄分摂取を増やすことによって症状が改善できる研究結果が出ています。

※元データ「むずむず脚症候群:病態生理学から臨床診断と管理まで」

3. ビタミンDを積極的に摂る

ビタミンD欠乏症はむずむず脚症候群(RLS)と関連している可能性があります。ビタミンD摂取を増やすことによってむずむず脚症候群(RLS)およびビタミンD欠乏症の症状が改善できる研究結果が出ています。

※元データ「むずむず脚症候群の重症度に対するビタミンDサプリメントの効果」

血液透析を受けている人にとっては、ビタミンCとEの摂取がむずむず脚症候群(RLS)症状の緩和に役立つ研究結果が出ています。

※元データ「血液透析患者のむずむず脚症候群の治療におけるビタミンC、E、およびそれらの組み合わせの有効性」

むずむず脚症候群(RLS)を和らげる食品

  • マグネシウム:ほうれん草、牡蠣、大豆、米、みそ、ひじき、まぐろ、のりなど
  • 鉄分:あさり、大豆、豚レバー、干しひじき、鳥レバー、ほうれん草など
  • ビタミンD:サケ、イワシ、サンマ、カレイ、キクラゲ、干し椎茸など

その他、マグネシウムを多く含む食品はこちらをご参照ください。

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4. 潜在的要因を排除する

カフェイン、アルコール、タバコの使用は、むずむず脚症候群(RLS)の症状を悪化させる可能性があります。これらの使用を制限すると、症状を軽減するのに役立つ研究結果が出ています。

※元データ「American Family Physician」

Restless legs syndrome is a common neurologic movement disor…

5. 使用している薬を確認する

特定の薬の服用は、むずむず脚症候群(RLS)の症状を引き起こしたり、悪化させる可能性があります。

  • ジフェンヒドラミン(Benadryl)などの古い抗ヒスタミン薬
  • メトクロプラミド(レグラン)またはプロクロルペラジン(Compro)などの抗吐剤薬

  • ハロペリドール(ハルドル)やオランザピン(ジプレキサ)などの抗精神病薬
  • リチウム(リソビッド)
  • フルオキセチン(プロザック)、セルトラリン(ゾロフト)、またはエスシタロプラム(レクサプロ)などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
  • アミトリプチリン(エラビル)またはアモキサピン(アセンディン)などの三環系抗うつ薬
  • トラマドール(ウルトラム)
  • レボチロキシン(レボキシル)

上記の薬のいずれかを服用している場合、RLSを悪化させる可能性があるかどうかについて医師に相談してください。

※元データ「むずむず脚症候群:病態生理学から臨床診断と管理まで」

6. 健康状態の改善

腎臓疾患、または末期腎臓病(ESRD)、および神経損傷、糖尿病はむずむず脚症候群(RLS)と関連していることが分かっています。鉄欠乏性貧血もむずむず脚症候群(RLS)と強い関係があります。

特にこれらの状態のいずれかがある場合は、健康履歴がむずむず脚症候群(RLS)にどのような影響を与える可能性があるかを医師と相談してください。

※元データ「成人のむずむず脚症候群の治療」

※元データ「2型糖尿病におけるむずむず脚症候群の関連」

※元データ「鉄欠乏性貧血患者に対するむずむず脚症候群の有病率と影響」

7. 睡眠習慣の改善

良い睡眠習慣を持つことは誰にとってもお勧めですが、特にむずむず脚症候群(RLS)のような睡眠障害のある人には必要です。
睡眠を改善することが短期的な症状改善には繋がらない可能性はありますが、睡眠を少しでも多くとることは精神的ストレスを軽減し、より回復力をもたらしてくれます。

睡眠習慣の改善のヒント

  • 毎日同じ時間に就寝し、起床するよう努める
  • 睡眠環境を整える。(涼しく、静かで、暗いのがベター)
  • 寝室では、テレビや携帯電話などをオフにする。
  • 寝る前の2~3時間はゲーム、電子画面を見ない。画面が発するブルーライトは生活リズムを乱す可能性があり、自然な睡眠サイクルを保つため。

8. 適度な運動をする

適度に運動し汗をかくことは気分転換、睡眠状況の改善にもつながり、むずむず脚症候群(RLS)症状の緩和に役立つとNIH(アメリカ国立神経障害および脳卒中研究所)が発表しています。

※元データ「NIH(アメリカ国立神経障害および脳卒中研究所)」

National Institute of Neurological Disorders and Stroke

Restless legs syndrome (RLS)—also known as Willis-Ekbom Dise…

むずむず脚症候群(RLS)の23人を対象とした2006年の研究では、有酸素運動と下半身抵抗トレーニングが週に3回、12週間行われ、症状が大幅に減少した結果が出ました。

※元データ「運動およびむずむず脚症候群」

特に末期腎臓病(ESRD)の人々において、運動がむずむず脚症候群(RLS)症状改善に非常に効果的であることがわかっています。

※元データ「むずむず脚症候群の補完療法と代替療法」

9. ヨガ・ストレッチをする

上記の運動と同様に、ヨガとストレッチ運動は、むずむず脚症候群(RLS)を持つ人々の症状を改善することが分かっています。

ヨガをすることで気分の改善、ストレスレベルの低下、睡眠状況改善などにより、むずむず脚症候群(RLS)を改善する研究結果が出ました。

※元データ「むずむず脚症候群の症状に対する8週間のヨガ実施の有効性」

また、ストレッチ運動が血液透析を受けている人々のむずむず脚症候群(RLS)症状を大幅に改善する研究結果が出ています。

※元データ「血液透析患者のむずむず脚症候群の重症度に対するストレッチングエクササイズの効果」

10. マッサージをする

足の筋肉のマッサージにより、むずむず脚症候群(RLS)を改善する研究結果が出ています。

※元データ「マッサージ療法とむずむず脚症候群」

ある研究ではマッサージによって引き起こされるドーパミンの放出の増加と、血液循環の改善が症状改善の要因であると述べています。

※元データ「エクボム症候群の薬物に依存しない治療法」

 

ぜひ、これらを実践してむずむず脚症候群の症状を少しでも和らげてください。

特に重要なミネラル・マグネシウムは、食事からしっかり摂取できるよう心がけましょう。

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また、経口よりも摂取効率がよいとされる経皮マグネシウムの効用も併せてご覧ください。

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著者について

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早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。