マグネシウムの種類
マグネシウムは様々な形で存在し、様々な特徴を持っています。
無機塩
塩化マグネシウム(MgCl2)・・・にがりとして豆腐製造の凝固剤として用いられる。
- 酸化マグネシウム(MgO)・・・苦土とも呼ばれ、胃酸を中和する医薬品などに使用される。
過酸化マグネシウム(MgO2)
水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)・・・その緩下作用から便秘薬として使われている。 また、無機凝結剤として廃水の浄化に使われることがある。
フッ化マグネシウム(MgF2)・・・レンズ、プリズムなどに用いられる。
臭化マグネシウム(MgBr2)
- ヨウ化マグネシウム(MgI2)
水素化マグネシウム(MgH2)
- 二ホウ化マグネシウム(MgB2)
- 窒化マグネシウム(Mg3N2)
- 硫化マグネシウム(MgS)
- 三ケイ酸マグネシウム(英語版)(2MgO、3SiO2、nH2O)・・・制酸剤、医薬品添加物、食品添加物などに用いられます。
オキソ酸塩
- 炭酸マグネシウム(MgCO3)・・・菱苦土石(りょうくどせき)とも呼ばれ、鉱物(炭酸塩鉱物)の一種。
- 炭酸カルシウムマグネシウム(CaMg(CO3)2)・・・苦灰石(くかいせき)、ドロマイトとも呼ばれ、鉱物(炭酸塩鉱物)の一種。
- 硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)
- 硫酸マグネシウム(MgSO4)
- 亜硫酸マグネシウム(MgSO3)
- 過塩素酸マグネシウム(MgClO4)
- リン酸三マグネシウム(Mg3(PO4)2、8H2O)
- 過マンガン酸マグネシウム(Mg(MnO4)2)
- リン酸マグネシウム(Mg(H2PO4)2・4H2O)
有機塩
- 酢酸マグネシウム(Mg(CH3COO)2)
- クエン酸マグネシウム(MgHC6H5O7・5H2O)
- リンゴ酸マグネシウム(C4H4MgO5)
- グルタミン酸マグネシウム(C10H16MgN2O8)
- 乳酸マグネシウム(C6H10MgO6)
- 安息香酸マグネシウム(C14H10MgO4)
- ステアリン酸マグネシウム(Mg(CH3(CH2)16COO)2)
- オロチン酸マグネシウム(C10H6MgN4O8)
- グルコン酸マグネシウム((C6H11O7)2・Mg・xH2O)
- グリシン酸マグネシウム
- タウリン酸マグネシウム
- スレオニン酸マグネシウム
マグネシウムの重要性・働き・効果などはこちら
マグネシウムの重要性・効果・効能マグネシウムは体内で最も重要なミネラルと言えます。なぜならば、マグネシウムは体内の600以上の酵素の補因子または活性化因子として働き、カルシウム、カリウム、ナトリウムといったミネラルの細胞への出し[…]
医薬品、健康食品、化粧品などとして使用されるマグネシウムの種類
私たちが普段の生活で口から摂取したり、肌に塗ることによって使用するマグネシウムの種類として、主に以下のマグネシウムが使用されています。
塩化マグネシウム(MgCl2)
極めて高い溶解性のため、安定性が高く無機塩の中で最も高い吸収率がある。
おすすめ度 | 5.0 |
酸化マグネシウム(MgO)
酸化マグネシウムには、重量あたりのマグネシウムが最も多く含まれているが、水に不溶性であるため吸収率が4%と低く、残りは腸内に残留して下剤の作用を促してしまう傾向あり。
おすすめ度 | 2.0 |
水酸化マグネシウム
マグネシウムのミルクとも言われる水酸化マグネシウムは、一般的に便秘改善用の下剤、また胸焼けを改善する治療薬として使用されている。
おすすめ度 | 3.5 |
硫酸マグネシウム
高マグネシウム血症になりやすいので注意が必要。経口摂取には向かない。
おすすめ度 | 2.0 |
クエン酸マグネシウム(MgHC6H5O7・5H2O)
水への溶解度が比較的高いため、体への吸収が良い。結腸内視鏡検査または手術の前に生理食塩水下剤として一般的に使用される。
おすすめ度 | 3.5 |
乳酸マグネシウム(C6H10MgO6)
水への溶解度が比較的高いため、体への吸収が良い。保湿剤、湿潤剤として化粧品等に使用される。
おすすめ度 | 3.5 |
アミノ酸キレート
高吸収性マグネシウム (high absorption Magnesium)と呼ばれ、タウリン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、リシン酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、オロチン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウムなどの有機塩マグネシウム集合体。
無機塩のような溶解性ではなく、タンパク質経路に代謝依存しているため吸収率は高いが、アスパラギン酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウムなどは特に副作用(脳への刺激や神経毒性など)が報告されており、長期の使用は控えたい。
おすすめ度 | 3.0 |
キレート化とは
吸収されにくい栄養素を吸収しやすくする仕組み。キレートとは、ギリシャ語で「カニのハサミ」という意味で、吸収されにくい栄養素をアミノ酸や有機酸によってカニバサミのようにはさみ込んで、吸収されやすい形に変える。
マグネシウムの吸収率実験ー吸収率38%
「食品およびサプリメントからのマグネシウムの腸管吸収」実験
Intestinal Absorption of Magnesium from Food and Supplements
アメリカ医学研究論文
文献(米国国立医学図書データベース)
The purpose of this study was to measure magnesium absorptio…
研究概要
1991年テキサス・ベイラー大学医療センターにおいて、マグネシウムが腸管を通してどの程度吸収されるかを計測した実験。
実験内容
25~35歳の8名男性を被験者とし、通常の食事後に酢酸マグネシウムサプリメントを摂取。121.5mgのマグネシウムを含んだ食事をとった後、243、486、972mgと変化させ、その後の尿分析によりその吸収量・吸収率を測定。各被験者が8回ずつ実施。
結果
平均38%のマグネシウムが吸収されることが分かった。吸収率は、サプリメントの摂取量と反比例し、最小摂取量の65%、最大摂取量の11%が吸収されていた。
吸収されやすいマグネシウム実験ー塩化マグネシウム、有機マグネシウム
Bioavallability of US commercial magnesium preparations

文献(米国国立医学図書データベース)
研究概要
2001年、ニューヨーク退役軍人医療センターにおいて有機マグネシウムと無機マグネシウムの人体への吸収率に違いがあるかを確認するための実験。
実験内容
無機塩からは酸化マグネシウムと塩化マグネシウム、有機塩からは乳酸マグネシウムとアスパラギン酸マグネシウムの合計4種類のサプリメントを用意し、25~55歳の男女16名(男性8名女性8名)の被験者が各252mgを摂取。その後の尿中マグネシウム値の変化より各サプリメントの吸収率を測定。
結果
酸化マグネシウムのみ吸収率4%だったが、乳酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩化マグネシウムの吸収率は9%-11%となった。無機マグネシウムにおいても、塩化マグネシウムのみが有機マグネシウムと同等もしくはそれ以上の吸収率があることが分かった。
マグネシウム不足の深刻化近年、マグネシウム不足の人が増えています。生命の基礎ミネラルとも言えるマグネシウムが不足すると、メタボになるだけでなく、様々な体調不良、そして偏頭痛、心筋梗塞、高血圧、慢性筋肉痛などの原因になることが分か[…]
著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。