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まだ間に合う!?産褥精神病を予防するためにやっておくべきこと

【はじめに】

産褥精神病とはいわゆる出産後の産褥期に生じる精神疾患のなかでもかなり発症割合は稀で重篤な病気です。

本疾患における主な症状としては、精神的な興奮や錯乱、まとまりのない言動などがみられるのみならず、幻覚や妄想など強い精神症状が引き起こされます。

最悪のケースでは、心理的に錯乱状態に陥って自殺や他害(生まれたばかりの胎児を傷つけることなど)の危険性もあるために早急な治療介入が必要な状態とされています。

発症の予測はきわめて困難であり、出産後1週間以内に発症して瞬く間に症状が悪化して、可及的速やかに精神科病棟への緊急入院が必要になることも往々にして認められます。

そして、人体内で数えて7番目に多いミネラルであるマグネシウムは、生体内におけるすべてのエネルギー活動の場で重要な役割を持っていると考えられています1)。

普段からミネラル摂取を格段に意識している妊婦さんは皆目ほとんどいないと考えられており、特に現在のところでは日本人のマグネシウム平均摂取量も減少していますが、産褥精神病を予防するためにもマグネシウムは非常に重要な要素であると考えられています。

マグネシウムは昔ながらの日本食では豊富に摂取できるものが多いとされていますが、その一方で複数のミネラルやビタミンを同時に補うことができるサプリメントによってマグネシウム成分を摂取するケースも最近では散見されます。

近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。

今回は、産褥精神病にならないためにマグネシウムのサプリメントを摂取する重要性などについて説明します。

【第1章】産褥精神病になる原因とは?

2020年時点では、産褥精神病に関する明確な発症メカニズムについては完全に解明されていませんが、リスク因子として双極性障害の既往歴や家族歴の存在が挙げられています。

また、本疾患の発症因子について喫煙歴や飲酒歴などを始めとするライフイベントや生活習慣などとの関連性はほとんど認められていないと伝えられています。

一般的に、出産を終えると急激なホルモンバランスの変化が訪れます。

生理学的に妊娠中は妊娠していない時期に比べて、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが大量に分泌されていますが、出産を終了すると妊娠を維持するために多量に分泌されていたこれらの女性ホルモンの分泌量がほぼ枯渇した状態となります。

このような急激に訪れるホルモンバランスの変動が実際に自律神経の役割や心理的機能にも影響して、精神的に情緒不安定な状態を引き起こして産褥精神病を発症する可能性も懸念されています。

また、近年必須栄養素として注目されているマグネシウム成分は特に脳や心臓、そして骨格筋などにおいて重要な生理学的役割を果たしていると考えられています。

したがって、マグネシウム不足になると、それぞれの神経細胞に必要なマグネシウム量が満たされなくなり、産褥精神病をはじめとして精神疾患の主因とされている神経細胞の損傷を引き起こして精神行動面での異常症状が出現することに繋がると考えられます。

【第2章】産褥精神病にならないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性

産褥精神病における治療としては通常であれば向精神病薬や気分安定薬などの薬物療法などが実施されます。

同時に、患者さん自身が治療に専念できるように近隣家族とも相談しながら育児支援体制を整備していくことが重要な観点となります。

基本的には、幻覚や幻聴、錯乱などの症状が強い際には外来通院のみで治療を完遂できることは少なく、迅速に入院治療を開始することが必要です。

臨床的な経過は治療によっておおむね予後良好とされていますが、治癒後にも双極性障害などの二次性精神疾患を発症するリスクも指摘されているのみならず、次回の妊娠期や産褥期にも症状が再燃する可能性が約半数弱と言われています。

通常の周産期過程では、妊娠初期にはマグネシウムが細胞内に大量に取り込まれるために、それに反応して血清マグネシウム値が低下する傾向があります。

マグネシウムは1926年以来から生体にとって必須元素であると伝えられています2)。

原則として、マグネシウムなどのミネラルそのものは基本的には体内で十分な量を作ることができませんから、食品などから摂取する必要がありますが、食事などで十分な量を取れない場合には市販で販売されて容易に手に入るサプリメントを活用する方法もあります。

通常では、サプリメントの容器には摂取量程度しか記載されていないことが多いため、飲むタイミングはいつが望ましいのか迷ってしまう妊婦さんも多いです。

基本的には、いつどのようにサプリメントを飲んでもいいのですが、まずは食後に1日の目安量を分けて飲んでみることをお勧めします。

そして、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じることなく適切な用量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。

日本人はマグネシウム不足になりやすく、半数以上の方が理想値には達していないことからも、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められています。

総合的に考慮すると、産褥精神病を予防するためには、普段から意識して食べ物やサプリメント、あるいは経皮吸収型クリーム製品などからマグネシウム成分を摂取する必要性があると言えるでしょう。

【まとめ(おわりに)】

出産後に、幻覚や妄想などの症状があらわれて非常に混乱した状態に陥る病気を「産褥精神病」と呼んでいます。

通常、妊娠や出産というイベントを契機として発症しやすい心の病気として良く知られている産後うつ病が約15人に1人の割合で経験するのに対して、この産褥精神病に関しては概ね1000人に1人の率で発症する稀な病気であると考えられます。

一般的には、産褥精神病の症状の現れ方は個々のケースによって大きく異なります。

本疾患においては、産後直後の3日間の期間内に不眠や気分の変調が自覚される場合もありますし、多くは産後おおむね1か月以内に妄想や幻覚を訴えて異常な興奮状態となることが特徴的です。

いざ妄想症状が出現すると、家族や周囲の人のサポート体制だけではなかなか改善に結び付けることができず、顕著な抑うつ症状も合併して食事が取れない、赤ちゃんの世話ができないなど日常生活を順調に送ることが困難となります。

そのような背景がある中で、特にマグネシウムは妊娠中に必要量が通常レベルよりも増加する傾向がありますので、意識して摂りたいミネラルの代表格です。

もし、妊婦さんがマグネシウムを多く含んだ食品を取り過ぎたとしても、小腸などで吸収量が調節されて、尿や汗と共に排泄される作用が働くために通常の食事においては過剰症になることはほとんどありません。

もし周りに産褥精神病に関して心配事を抱えている妊婦さんがいたら、十分な水分量やバランスの良い食事を規則正しくしっかり食べて、マグネシウムなどのミネラル成分の栄養を摂取するように教えてあげてください。

日々の食事内容やサプリメント栄養をうまく活用してマグネシウムの摂取方法を工夫することによって産褥精神病にならないように実り多い有意義な生活を送りましょう。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

  1. 藏前尚子:2型糖尿病におけるマグネシウムの役割. JICD, 2015, Vol. 46, No. 1.p56-61.

DOI https://www.icd-japan.gr.jp/pub/vol46/17-vol46.pdf

  1. 千葉百子、篠原厚子、松川岳久:マグネシウムと健康-栄養、医薬品、環境の観点から-. Biomedical Research on Trace Elements. 2011 22 4 p. 59-65.

DOI  https://doi.org/10.11299/brte.22.59

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。